2013年08月02日

新刊「子どものしぐさはメッセージ」発売

いよいよ新刊が8月5日に発売となります。

その名も『子どものしぐさはメッセージ』(クレヨンハウス)。



2冊目の本から2年ぶりの刊行となりましたが、ようやく上梓できました。


本のまえがきにも書いているし、このブログでも書いたけれども、今回の本は「動詞で世界を語る」ということの、ほんの一歩目の駆け出しのような作品である。

今回は「子どもと楽しむワーク」ということを中心にまとめていったので、どちらかというと「子どもワーク本」という感じだけれども、いつか「大人の動詞」を考える「大人のワーク」もまとめていきたいなと考えている。…いつになるか分からないけれども。


しかし、今回自分が「子どものしぐさ」として挙げた動詞の数々を見ていて、そういえば人間って大人になると動詞の数が減っていくんだなと思い当たった。

たとえば今回の本で取り上げたしぐさでも、ほとんどの大人は「ころがる」なんてことしないし、「とびおりる」ことも「つみあげる」ことも「まねる」こともほとんどしないだろう。

子どもはいろんな動詞を試してみるけれども、大人になると「動詞の実験」ということはしなくなる。


私はときどき「いろんなシチュエーションに自分を置いてみる」ということをやってみるのだけれども、自分が自分だと思っているものは、じつは限られた動詞の中での自分に過ぎないわけで、今までにないシチュエーションで、普段やったことのない動詞を動いているときには、自分も知らない自分自身が出てきたりするものである。

だから普段はあまりないシチュエーションに自分を置いてみると、「へぇ、こんなときにはこんなこと感じて、こんな反応するんだ」と新しい自分を発見できる。


この本の中でもいろんな「しぐさのワーク」を紹介しているけれど、ぜひぜひ皆さんにもいろんな動詞を動いてみてほしい。

ありきたりな日常やありきたりな関係が、また全然違って見えてくること受け合いである。

とくに「新しい動詞」は、こわばり始めた身心に新鮮な息吹を吹き込んでくれる。

いや、というよりもむしろ、つねに「新しい動詞」に満ちているのが子どもの世界であり、若さであるのかも知れない。

つねに「新しい動詞」を食べ続けようという人は、おそらくいつまでも若々しい。

posted by RYO at 22:57| Comment(11) | TrackBack(0) | 雑念 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月13日

システマ北川さんとの往復書簡

今度、9月に立川の朝日カルチャーセンターで、システマインストラクター北川貴英さんとコラボ企画を行なうことになった。

システマ(⇒Wiki)というのは軍隊格闘術から始まったロシアの武術で、「脱力」というところを重要なポイントとしており、その独特な思想やトレーニング方法で、最近注目を集めている武術(ボディアーツ)である。

もともと朝カルの緑川さんが「この二人を引き合わせたい」と企んでいたようで、「システマの北川さんと一度会ってみませんか〜?」と誘われたので、「それはぜひ」とお答えしてシステマのクラスに飛び入り参加させていただいたのだ。

そして講座終了後、そのまま立川の小料理居酒屋へと向かい、そこで美味い酒など飲みつつどんなことをやろうかと企画を練って、その席で親子連れで参加できる体験型の「武術&整体」ワークショップをやろうということになったのである。

親子連れの方たちにいっぱい来てもらって、北川さんがシステマの親子向けワークをやって、そして私は…まあテキトーに何かやって(笑)、それで親子でからだをいっぱい動かしながら「からだを感じてみよう」という、そんな趣旨のワークショップである。

考えるだけですっごい賑やかな会になりそうだけれど(笑)、それでさらにその企画に先駆けて、ウェブ上で北川さんと私の往復書簡を行なおうという話が緑川さんの方から提案された。

わお、公開交換日記ですね。なかなか素晴らしいアイディアであります。

ということで、さっそくつい先日から公開往復書簡ブログが始まりました。

「整体&システマ 新しい『親子の体育』とは?」

素敵なブログができましたが、なんと北川さんが自分で作ってくれたそうです。感謝。


しかし、ブログの更新もおぼつかないのに、新しいこと始めてどうするんだという思いもあるけれど、まあ往復書簡方式だと、話の相手がいるとか、影から担当のスタッフにせっつかれるとか、そういうことがあって更新も継続的に続きやすいので、そちらの方もぜひぜひちょくちょくのぞいてみてくださいな。

私もさっそく書いておりますよ。


でも、このブログもなかなか更新が進まず滞っておりますが、もっと軽いことをさらさらと書いていけば良いのですよね。

なるべく更新していくように心がけます〜。

posted by RYO at 21:43| Comment(8) | TrackBack(0) | 雑念 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月09日

分かっていること、分からなくなること

私は最近、講座で「人間は無意識のうちにはすべて分かっているので、今さら自分の欠点を隠しても仕方が無い。隠しているとむしろその「隠している」という身振りそのものがもうバレバレなんです」ということをお話しすることがある。

それは私がもう最近、実際にそう感じて止まないのでそう言っているのだけれど、たぶんホントにそうなのである。

私たちはすべて分かっている。あるいは感じている。

ただそれを言語化/意識化できないだけで。


先日、講座でそんな話をしていたら、参加者の方が「私は子どもの頃、トランプをやっていてもジョーカーがどこにあるのか全部分かったんです」という話をしてくれた。

ババ抜きなどやっていてもジョーカーがどこにあるのか分かっているから、ゲームとしては何も楽しくない。

だから周りの大人たちが「ババ引いたー!」などと言って楽しんでいる様子が、なぜだかよく分からなかったそうである。

それで子ども時代のその方は、頭を悩ませ考えた末にある結論に達した。

「分かった。みんな分からないふりして楽しんでるんだ。」

賢い子である。

このゲームを楽しむために、みんな分かっていることを分からないことにして、「ごっこ遊び」をしているのだ。なるほど。

そう考えたその子は、自分も分からないふりしてみんなと一緒にトランプを楽しむことにしたそうである。

それでどうなったか。

その人曰く、「そうしたら、いつの間にか分かんなくなっちゃったんですよ〜(笑)」

悲しいお話である。 だがきわめて興味深い話でもある。


最近の認知心理学の研究によると、赤ちゃんというのはサルの個体識別ができるそうである。

私たち大人は、サルが何匹かいたときにその顔をどんなによく見比べたところで、それぞれのサルの区別など到底つけることはできないが、乳児はすべてのサルの顔をきちんと識別できるというのだ。

しかし残念ながら、その能力は長くは持たない。

歳を重ねるにつれ消えていき、そしてやがて我々大人と同じように「サルはサル」という十把一絡げの認識になってゆく。

何故かということは単純だ。そんな能力は必要ないからである。

私たちにとって重要なのは、身の回りの人間たちの個体識別なのだ。

サルの個体識別などにその能力を振り向けるなら、日本人の個体識別能力に特化して磨いた方が良い。

まあきわめて妥当な生存戦略であると言えよう。


私たちを取り巻く日常は、良くも悪くも虚構に満ちあふれている。

私たちはみな、お愛想を言い、おべっかを使い、世間体を気にし、TPOをわきまえる。

分かっていることをあえて言わずにおいたり、見て見ぬふりをしたり、心にもないことをつぶやいたり、嘘でも褒めたり…。

それは良く言えば「社交辞令」、悪く言えば「欺瞞」である。

だが私たちの社会というものは、ある種そういうものによって成り立っているところがある。

だからそういう能力を身に付けてゆくことを「大人になる」と言い、そういう能力を身に付けていない人間を「子ども」と呼んで、彼らに「大人になれ」と言うのである。

世の中、分かっていても言ってはいけないことがある、と。


おそらく私たちはみな、無意識のうちにはすべて分かっている。

だがその分かっていることを、そのまま表に出して生きていくことは、大変リスキーなことであるし、しんどいことであるし、集団から阻害されていきかねないことである。

だから私たちはたとえ分かっていたとしても、言わないようにしながら、気づかぬようにしながら、分からないようにしながら、暮らしてゆくのだ。

そしてそのうち、ホントに気づかぬようになってゆく。

しかし、そんなことが「大人になる」ということであるとするならば、何とも悲しいことである。


最近の私のテーマでもあるのだけれど、私たちが真に大人になってゆくためには、「それを知ってなお」とか「すべて分かった上で」とかいうようなことがキーワードになってゆくような気がしている。

不都合なことから目を背けていては、分からなくなっていくことばかりである。

だが、そういうことに直面してなお、それと向き合うことに覚悟を決めて、それと向き合う作法を身に付けていけば、いろんなことに気づかぬようになってゆく「無知の病」に陥らずに済むのかも知れない。

う〜む、肚を決めていくしかない。

posted by RYO at 23:10| Comment(11) | TrackBack(0) | 雑念 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする